
野球漫画の代表作:タッチ
『週刊少年サンデー』(小学館)に1981年〜1986年の6年間連載された高校野球漫画。双子の兄弟:上杉達也・和也と幼馴染:浅倉南の3人をメインで描いた野球×恋愛×友情を描いた名作です。
コミックスの総売上はなんと1億部超え。テレビアニメ、劇場用アニメとしてアニメ化もされ、実写のテレビドラマや映画も製作された。単行本(新書判)全26巻、ワイド版全11巻、文庫版全14巻、完全版全12巻。
以下ネタバレの可能性あり。
【何よりも家族を大切にする兄】
タッチの主役は兄の上杉達也。弟は勉強もできて、スポーツもできるのでいつも陰でやる気なく、その日暮らしで生きる達也。
ただ達也はいつでも自分のことではなく、弟のことを考えている兄。随所で自分は身を引いて、弟のため尽くそうとする姿勢があります。一方で双子ということでライバルでもあり、対抗心もあります。
でもその対抗心と家族を思う気持ちを天秤にかけた時にいつも優先するのは家族への気持ち。なのでそんな役割をすることもしばしば。この作品のはじめの見所は達也の弟への愛情です。
【みなさんご存知、激かわ幼馴染の浅倉南】
上杉兄弟には幼馴染に絶世の美女の浅倉南がいます。もちろんのこと2人とも南ちゃんに惹かれているのですが、ここでも達也はいつも損な役割を演じてしまいます。
弟は周りからも評価されていて、南ちゃんともお似合いな立場。一方達也は周りから見ると冴えない男。どちらを選ぶべきかは一目瞭然で、周りの後押しも弟の和也を猛プッシュ。
ただこの漫画の面白いところは、そんなことは意に介さず、二人をフラットに見て、両方の良いところを認める南ちゃんの存在。人間的にも素晴らしい人なんです。
【いきなりの死】
上杉和也が交通事故で亡くなってしまうシーンは有名かと思いますが、個人的にも非常に衝撃を受けました。なかなかここまで死を重く描いている漫画は少ないと思います。
ある日常で、死とは無縁の生活を送っている全員に訪れ突然の死。これはふと自分の生活に怒ってもなんら不思議ではないことだと思わせられました。
【達也と南ちゃん】
和也がいなくなってから、達也と南ちゃんの二人になり、恋愛はスムーズにいくと思いきやなかなかそううまくはいきません。どちらかというと南ちゃんが達也へアプローチをするようなシーンも多くあります。
また見方を変えると夫婦のように言葉を交わさなくても分かり合っているような雰囲気もあります。
【達也が頑張る理由】
南ちゃんと付き合うには達也はそれに見合うための存在にならないとダメです。達也自身もそれは感じていて、なのでなんとか自身をもつために野球にひたすら打ち込み、ライバルとも競い合っていきます。
ただ達也が頑張る理由は南ちゃんのためでもあり、和也のためでもあり、また仲間のためでもあり、最後に自分のためでもあって、それがすごくうまく描かれている作品です。
【タッチが名作の理由】
野球×恋愛×仲間をどれもすごくいいバランスで描かれているところが素晴らしいです。また高校生という大人と子供の間でいろんな選択をしていく時期をリアル伝えてくれるところも見所です。
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